2024年4/26に決算発表後株価が急落しているMETAですが、どのような企業かを過去の決算書の数値から見ていきます。今回の決算内容は取り扱いません。
METAの会計年度に合わせ、2023年12月末までの5年分の数値で見ていきます。
META(メタ・プラットフォームズ 旧Facebook)とは
2021年にFacebookから社名を変更した、Facebook、InstagramなどのSNSを主力とするテクノロジー企業です。社名を変更して以降、仮想現実や拡張現実などのプラットフォームと製品の開発に力を入れているようです。
ここ5年のトータルリターン
まずはパフォーマンスの確認から。
期間は、2018年12/31~2023年12/31までの5年、比較対象はDJINET(ダウジョーンズインターネット指数)、S&P500、ナスダック総合指数です。
METAに投資した100$はこの5年間で、ナスダック総合指数と同じく約270$となっており、S&P500(約200$)やDJINET(約160$)以上のリターンとなっています。
収益推移
4年で、売上高は、約1.9倍、営業利益は約1.9倍、当期純利益は2.1倍へ成長しています。
2022年度こそ落ち込んでいるとはいえ、全体的に高い利益率です。
売上高の内訳と、売上高広告比率のグラフになります。
広告は97%前後と非常に高い水準で推移しており、ほぼ広告で稼いでいる企業であることが良く分かります。
(年次報告書によると、広告のほとんどもFacebook と Instagramからもたらされているようです。現状はFacebook と Instagramで稼いでいる企業といってもよいのかもしれません。 )
株主還元
2024年以前は配当を出していませんでしたが、2024年2月に一株当たり2$の配当支払いを発表しています。(2023年度末の発行済み株数と純利益で配当性向を計算すると13.5%程の水準です)
自社株買いによって着実に発行済み株数は減少しています。4年で91%まで減少しています(株主価値の濃縮なので+要素)
財務推移
自己資本比率は非常に高い水準にあります。
投資CFの支出先を見ていると、2021年までは支出の半数以上が有価証券購入、残りが不有形固定資産購入ですが、2022年以降は有価証券購入が激減、入れ替わりに不動産及び設備の購入が大幅増加となっています。
負債が少ない影響か、財務CFの支出はほぼ自社株買いのようです。
研究開発費
2021年まで20%前後だった、売上高研究開発費率は2022年以降30%付近まで増加しています。
METAに対する個人的な感想
ここ4年の成長と高い利益率、自社株買いにより発行済み株数は着実に減少しており、配当も開始され配当性向も13%(2023年度水準で)ほど、となかなかに私好みの企業です。
ただ、景気に大きく左右される広告収益(とFacebook・Instagram)に完全に依存しており不安定な事業にも感じますが、総負債は少なく自己資本比率は高めで安心感はあります。・・・少なくとも当面は。
SNSと消費者の志向は絶えず変化していますが、これ以上新たなSNS関連企業を買収することが許されないFacebookが(過去に米当局よりInstagramなどの買収について訴訟をうけている)社名を変え投資をしてメタバースに舵をきったのは、それしか道が無かったからなのかもしれません。(2022年以降の投資CFの内訳変化と研究開発比率の上昇はメタバースの投資だと推測)
総合して、株主還元や過去の成長が素晴らしい企業ですが、メタバースの将来性をどう捉えるかで、評価が変わる銘柄だと感じました。