今回はテンセントの決算報告の内容についてみていきたいと思います。
テンセントについてはこちらを。
テンセントの会長兼CEOのコメント
・多くの点でブレークスルーを達成した
・動画アカウントの総ユーザーの合計滞在時間は2倍以上に
・広告AIモデルのターゲティングパフォーマンスが大幅に向上
・ゲーム収益の割合は記録的な30%に達した
・これらの発展で、質の高い収益がもたらされ粗利益成長率は23%に達し、株主への資本還元を強化するという当社の計画を後押しした
・Tencent Hunyuan (いわゆるAIと呼ばれるものと思われ)は、優れたパフォーマンスを備えた最上位の基盤モデルとして開発されました。
・当社はデジタル慈善プラットフォームを通じて、この種の世界最大級のイベント
99Giving Dayイベントで38億人民元もの寄付金を集めました。
(99Giving Dayは、毎年恒例の募金イベントのようです。)
2023年度財務のハイライト
・総収益は6090億人民元で、2022年比で10%の増加
・粗利益は2931億人民元で前年比23%の増加
・営業利益は1601億人民元で前年比44%増加し、営業利益率は20%から26%へ増加
・当期純利益は1180億人民元で前年同期比37%減、純利益率も34%19%に減少
・親会社株主に帰属する当期純利益は1152億人民元で前年比39%減少
・一株利益は、12.186人民元。希釈後の一株利益は、11.877人民元。
非IFRSベース(会計上正しくないが、一時的な要因などの変動を除いた数値。変動を省くため、毎年の成長などを見る時などに有用ですが、会社が都合が良く数値を弄っている可能性もあり注意も必要)の営業利益は1919億人民元で前年比34%の増加で営業利益率は26%から32%に増加。
同じく非IFRS当期純利益は1617億人民元で、前年比36%の増加し純利益率も21%から27%に増加。
更に同じく非IFRS一株利益は16.678人民元、希釈後で16.320人民元。
事業の振り返り
・動画アカウントユーザーの総滞在時間は2倍以上になり、強化された推奨アルゴリズムの恩恵を受けるように。クリエイターにライブ配信によるグッズ販売の促進やマッチングなどの更なる収益化サポートを提供
・ミニゲーム(ミニゲームはシンプルで操作が簡単なゲームと推測されます)総収益は50%増加、DAU(デイリー・アクティブユーザー) は同業他社を大幅に上回っており、中国最大のカジュアル ゲーム プラットフォームとしての地位を強化
・テンセントビデオとミュージックのリーダーシップを拡大しサブスクリプション契約数はそれぞれ1億1700万人、1億700万人に
・中国国内におけるテンセントの大ヒットゲーム(四半期平均 DAU 500 万を超え、年間総収益が40億元以上のゲームとテンセントは定義。この数値が大ヒットを長期間継続させる条件とテンセントは見ている)の数が2022年の6本から8本に増加。
海外ゲーム収益は二桁成長を達成し、国内、国外含めたゲーム収益 30% に上昇。
・AIを活用した広告テクノロジープラットフォームをアップグレードしたことで、ターゲティング性能が向上し、高い収益を実現
・WeCom と Tencent Meeting によりエンタープライズ ソフトウェアのリーダーシップが強化され、収益化が増加
・独自の基盤モデル Tencent Hunyuan を発表、中国のトップクラスのモデルとなり、生成機能と高度な論理的推論強力などのコンテンツを備えています
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・1億DAUを超える大規模なユーザーベースで、2023 年には前年比 20% 以上の成長(恐らく検索数)
コンテンツ QV は、前年比 30% 以上増加
収益化を強化し始めたばかりでも、収益は前年比の数倍に増加
Tenpay
・自己検査とそれに伴う是正を完了し、決済事業の運用コンプライアンスを強化。ユーザーのセキュリティを強化し、ミニプログラムベースのトランザクションと SME ツールをアップグレードすることで、支払いエコシステムを強化。
認可された金融機関との協力を深め、ウェルスマネジメントおよび消費者ローンサービスを拡大
ウェルスマネジメント
顧客総資産は前年比で堅調に増加、高品質の製品を提供やユーザーエクスペリエンスの利便性重点を置き、マネーマーケットファンドと低リスクの債券投資信託を主要な商品としている。
消費者ローン
WeBank と緊密に連携して、大規模な現金ローンを提供しながら、 低いデフォルト率を維持しています。
• 分割払いサービスで早期に成功を収め、組成されたローン残高は急速に増加しているが、低い デフォルト率を維持
• 低いユーザー獲得コストで高い利益を生み出し、 信用リスクを強力にコントロール
セグメント別売上高
セグメントは下からソーシャルネットワーク、国内ゲーム、国外ゲーム、オンライン広告、フィンテックとビジネスサービスとなっています。
テンセントにおける付加価値サービスというセグメント別の売上高グラフです。
項目は下からソーシャルメディア、国内ゲーム、国外ゲームです。
オンライン広告というセグメント売り上げ高のグラフです。四半期ベースでも年間ベースでも着実に成長を遂げているようです。
フィンテックとビジネスサービスのセグメントです。こちらも四半期ベース年間共に成長していることが確認できます。
株主還元について
2024年支払いの配当を前年比42%増加の一株当たり3.4HKDと提案(配当性向はおよそ25%ほど。詳しくは前回のブログを参照)
自社株買い規模は2023年の倍以上となる1000億HKD以上とのこと。
株価を計算しやすく300HKD/株、自社株買い規模を1000HKD丁度と仮定するとおよそ3.3億株の購入となります。2023年度末時点の発行済み株数が94.83億株ですので約3.5%規模になります。(実際には自社株買いのタイミングで、株価もまちまちでしょうし、さらには株式報酬やストックオプションで新規発行による希釈もあるので3.5%よりは低くなるでしょうが)
自社株買いの還元性向は1000億HKD×0.9226(HKD→人民元の為替レート)922.6億人民元。92260百万人民元の還元に対して2023年当期純利益が118048百万人民元なので78.15%の還元となります。
総還元性向(配当と自社株買いの還元と利益の割合)はおよそ103%になり十分すぎるほどの還元といえるのではないでしょうか。
最後に
かなり長くなりましたが以上になります。