少し前に、2023年の年次及び、第4四半期の決算が(3/20)発表されました。
今回は、テンセントという企業について整理していきたいと思います。
テンセントってどんな会社?
1998年設立の中国の深センに本社を置く、インターネットおよびテクノロジー企業です。2004年から香港証券取引所に上場しています。
事業内容としては
・コミュニケーション・ソーシャルサービスにより、世界の10億人以上に対して連絡や支払いツールを提供。
・ビデオゲームや高品質のデジタルコンテンツを公開し、エンターテイメント体験を提供。
・クライアントのデジタル変革とビジネス成長をサポートする為、クラウドコンピューティング、広告、フィンテックなどの幅広いサービスを提供。
などを行っているようです。
(テンセントHPより抜粋)
収益規模など
テンセントHPより5年分のデータがそろっていた収益と当期純利益とその割合いの推移を掲載。
収益はほぼ右肩あがりですが、当期純利益は2021年度をピークに減少傾向が続いています。裏付けは取れていませんが、2022年度2023年度に所有株式の現物配当も行っているのでその影響ではないかとも推測しています。(下図の赤丸部分が現物配当の金額(単位10億$))
2022年度、2023年度にテンセント所有の、中国の電子商大手のJD.COM及び、同フードデリバリー企業の美団の株式の大半を株主に分配しています。
事業内容とその配分
下段から、ソーシャルネットワーク、国内ゲーム、海外ゲーム、オンライン広告、フィンテックとビジネスサービス、その他です。2021年第1四半期から割合を見てみると、ソーシャルネットワークと国内ゲームが僅かながら減少傾向にあると言えそうです。引き換えに、海外ゲームとオンライン広告が若干、フィンテックとビジネスサービスはそれなり以上に上昇しているようです。
財務
自己資本比率は50%前後で安定しています。
株主還元
先ほども出来てきたこの資料ですが(単位10億$)、下段から配当金による還元分、自社株買い分、現物株式配布による還元になっています。
現物株の配当を除くと、配当額、自社株買い額ともに上昇傾向にあります。
2004年から配当を出していて、長期においても増配傾向にあります・・・というか2013年及び2022年を除くと連続増配銘柄ですね・・・
と思っていたら、2013年は株式分割の影響のようです。2013年発表の配当の支払いは2014年5月。2014年4月に5分割しているので、分割済みの配当のようです。
2012年(1HKD)2013年(0.24HKD×5株=1.2HKD)なのできちんと増配されていました。
2022年も現物株を配当しているので、テンセントはかなり株主還元が手厚い会社と言えるのではないでしょうか。
発行株数について
自社株買いがされていても、それ以上に発行株数が増えていたら株主価値は希釈されてしまいます。なので発行済み株数の動向を確認します。
優秀な人材を引きつけるには株式報酬はかかせません。2023と2022年度にはそれぞれ5500万、6200万株が新たに発行されました。
自社株買いだけでは株主価値の濃縮は行われません。株式を消却することで初めて株数が減少するのです。
2023と2022年度の償却数はそれぞれ、1億4100万株、1億1010万株となっています。
発行株数と償却株数を差し引きすると、2022年度初めの96億800万株は、年末に95億6900万株へ、2023年度末には94億8300万ドルまで減少しており着実に株数が減少していることが確認できます。
配当性向
2024年支払い予定の配当は一株3.4HKD。2023年度末の発行済み株数は9483百万株なので32242.2百万HKD。2023年度の当期純利益は118048百万人民元、HKDへは約1.08倍なので当期純利益は127491.8HKD。よって配当性向25.29%となります。かなり安全な範囲の配当といえるでしょう。
最後に
簡単にではありますがテンセントについて紹介してきました。
次回は2023年度決算内容について各事業の動向を中心に書いていきます。