先日あるゲームコミュニティで、小林製薬のような、財務健全性が高い企業が、あれほど下げるのはおかしいからチャンスだ・・・という話を小耳に挟み、事実かどうか自分の目でも確かめてみることにしました。
日本株は専門外ですが、前回のスターバックスと同様に、過去5年の会計上の数字を比較をメインで調べていきます。
そもそも小林製薬とは?
医薬品、芳香剤、栄養補助食品、日用雑貨などの分野で様々な商品を提供しています。(小林製薬HPより一部抜粋)
自分が真っ先に思い浮かんだ商品はブルーレット(置くだけ)でした。
2022年時点の製品の売上高構成はこんな感じ。
株価
1年のスパンでは下落傾向。
直近では、3/25にストップ安となり17%程下落後、下落幅を3割ほど取り戻しているようです。
10年スパンではこんな感じ。現在の価格は7年前と同等の水準まで下げています。
企業規模
ほぼ横ばいながらも、売り上げは着実ながら成長しているようにも見えます。
売上高は4年で9.5%の成長(年率2.38%の成長)、営業利益は4年で0.47%、当期純利益は4年で6.3%の成長(年率1.58%)です。インフレ程度の成長は出来る成熟企業といった感じでしょうか。
予想より高い営業利益率で正直驚きました。先日上げたスターバックスと同じくらいあります。スターバックスが低いのか、小林製薬が高いのか・・・・。
営業利益率はブランド力や商品ラインナップの競争力の高さを表します。
財務状況
総負債は総資産よりかなり低く抑えられ、自己資本比率は70%以上を維持、非常に健全な財務に見えます。
流動負債(短期的な支払いや、返済など)は流動資産の半分以下の水準、現金及び預金残高以下でもある為(つまり手持ち現金で流動負債をいつでも返済が出来る)短期的な支払い能力も高いと言えそうです。
営業キャッシュフローは安定、営業キャッシュフローの2倍近い水準の現金及び同等物をキープしています。
株主還元
まずは配当金の方から。
過去5年の範囲では毎年増配が行われているようです。配当性向も徐々に上がっていますが40%付近で抑えられています。
自社株買いも適宜行われているようです。
配当と自社買いを含めた総還元性向はここ2年は100%近い水準となっており、株主還元の意欲は非常に強いといえそうです。
2020年を除き自社株買いを行っているはずですが、2022年を除いて発行済み株数が減少していません。
つい忘れがちですが、自社株買い=発行株数の減少ではありません。
買い戻した株式を消却して初めて発行株数が減少するのです。
償却を行っているのは2022年だけなので発行株数の減少も2022年だけとなっているようです。
推測ですが、自己株式を一定程度保険として持っておきたい、償却は慎重にやりたいという思惑ではないかと思われます。(自己株式を売却すれば容易に現金を得られる為)
自社株買い=償却ではないケースも多いためか、自社株買いは需要を増やして価格を吊り上げる行為と誤解されがちでもあります。
発行株数こそ減少していませんが一株利益は5年単位で着実に伸ばしています。
私の感想
あくまで数字だけ見ると高い営業利益率と安定した収益、旺盛な株主還元、健全な財務で、退屈ですが面白そうな成熟企業だなと感じました。
今回は数字だけでしたが、もし需要があるようであれば、経営陣の見通しや、今回のストップ安につながった問題、商品のポートフォリオについても深堀していきたいと思います。
あっ小林製薬(小林製薬に限らず)への投資は自己責任でお願いします。